とあるハンターの外部記憶

かりびと見習い。釣り人的な。

出猟日記2回目、3回目。まだまだ猟というより探索下見(2020年1月)

2020年1月某日 出猟2回目。
天気晴れ。気温3~10度くらい。

5時に起きれたので、出発準備。
現地到着が7時半くらい。

本日は初めての林道に行ってみる。
相変わらず台風被害で林道はほぼ全滅でないかというくらいあちこち通行止め。

林道手前、左方200メートルくらいにオレンジ迷彩を着た3人くらいと車や犬が見える。
こちらをすんごい見られる。

遠目に車に積んだ犬の檻っぽいのも見える。巻き狩りの模様。
本日の最初の候補地は、この人たちがいるあたりの山を1つを越えただけの付近だったため、近すぎて危険なのでこの場所はあきらめる。

というか、この辺はハンターとのバッティングが多いので、もっと僻地に行かないとダメかな・・・。

Uターンして少し戻った右側の候補地の林道の下見だけして移動。
地図だけで見てるので、災害のあとに実際に通れるのかどうかはこうやって実地で行ってみないとわからない。

また移動。
数十分ほど車で移動して別の林道に到着。
新たな林道をずっと奥にいくと、ここも当然のごとく崩落して応急修理した場所や倒木を切った後がある。

これより奥にも民家などがあるためかと思うが、正直、崖地が多く、路上に大きめの落石もあり、通れないほどではないが、いつ追加で崩れるかわからない土砂崩れが林道にせり出してきてる等、危険を感じる林道だったので、途中で引き返す。
(基本的に臆病なので、尾根の反対に崖があるような地形とかもできるだけ近寄らないようにしてる)

どちらにしても山の中も植えてある木や広葉樹ごと斜面が崩落したり、倒木だらけで現状では山への進入が難しそう。
一応、少し古いシカのフンはあったけど・・・ここは嫌だな。

さらに数十分かけて次に向かったのは、前回までの下見でシカと思われる痕跡があった山の南側の林道。

狩猟じゃなくて林道探索ツアーになってる。

倒木対策で山の北側からアプローチしたかったが、途中の林道が土砂崩れや倒木で通行不可だった。
目的地のこの林道も奥は倒木と土砂崩れで物理的に行き止まり。

行き止まりの一番奥の少し手前で、藪はあるが倒木が少なくて比較的スムーズに山に入れそうなところがあったので、準備をして山に入れたのが10時50分。

地の利がないので仕方ないが、移動に時間がかかった。

今季は前期までと違う県での狩猟者登録であり、新規の場所でかつ狩猟者登録した後の台風の自然災害が加わるという悪条件が重なってるので仕方ない。
とにかくできる限りは探索して情報を集めないと厳しい。

倒木で行き止まりになっている場所より手前の、耕作放棄地と思われる場所から山に入ってみる。

植物には食われた跡がある、少ないし古いが糞も足跡もある。
この畑より先は斜面が急になっていて、時間をかけて登る。
たまたま台風の風が当たらない方向だったのか、倒木もほとんどない。藪も少ない。
物理的障害については比較的好条件だが、痕跡が薄い。

斜面を登って行ってもやはりシカの痕跡は薄め。警戒音もなし。
あまり期待しないで、獣道経由で尾根まであがると、尾根上は木が少なくて歩きやすい感じになっていた。

低山でも尾根の上に木が生えていないことが多い理由をネットで調べてみると、尾根の上は保水力が少なく、風も強くあたりがち、栄養になる落ち葉もたまりにくく、大きな木が生えにくい環境があるからということらしい。
おまけに獣が寝たり、通過する場所にもなってるわけだから、絶えず踏み固められてなおさら生えないって感じなのかと思った。

しばらく探索するもいなさそう。出会いなし。
山を下りて車に戻る。

今季、シカは痕跡だけで一度も見れていない。
初年度もこんなもんだったっけかな。
本日も出会わず。

移動と上り下りで疲れて半分帰宅&下見モードに入る。
同じ林道を少し戻って、入りやすそうだけど規模が小さな針葉樹の林をみつけて入ってみるが、鹿の痕跡はなし。

針葉樹を抜けて広葉樹林帯に入るとなだらかになっており、泥濘と薄い藪。
泥の上には新しいイノシシの足跡があった(副蹄もはっきりし、雨の跡だが足跡の穴に水が溜まってない)。

そのまま足跡が藪に続いていたので、少し追ってみるとヌタ場っぽい場所に出る。
さらにその先のトトロに出てくるような草のトンネルがある方を抜けるとイノシシの寝屋がありそうな茂みがあった。

ん?前方の藪の方から大きめのガサガサ音がする・・・・しかし、濃い藪で何も見えない。

イノシシに対する心がまえができておらず、しかも至近距離で出会ったらまずいと思いつつ、少しだけ進んでみる。

鳥もガサガサ音を出しているが、もっと大きい感じ。
念のため静かに1発だけ装填。
本当に至近で出てきたら1発じゃ足りないよな、と思いつつ。
この辺、覚悟も足りない。

その場で動かずに再度、聞き耳をたてて様子を見るも、それ以上動く気配がなく、いるかもしれないけど本日は時間切れなので脱包して引き上げることにした。

山から出て車に戻り、着替える。
本日も目撃なし、終了。

帰る駄賃に今いる林道に近い東側の林道2つを軽く見に行く。
とにかく通れるかどうかと、山に入れそうかどうかと、簡単な動物の痕跡の確認だけ。
写真を撮って終わり。

帰りは事故など大渋滞で計4時間弱かかる。
山歩きより疲れた。



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2020年1月某日。出猟3回目。
気温3~14度。

6時40分起床。
適当に出発して10時30分着。

航空写真で目星をつけていた山につながる林道に向かう。

林道行き止まりより少し下の砂防ダム脇に車を止める。
行き止まり付近には畑があったため、作業の邪魔にならないようにするため。
現役で農作物が生えてる畑に鹿よけの電気柵がある、ということはいるということ。

ダラダラ準備して出発が11時8分。
そこから林道行き止まりまで林道を登り、斜面を登る。

これまで行ってみたところよりは倒木はマシだが、やはり台風の影響で倒木があり、登りもなかなか苦戦する。

登り始めてそれほど経たずの途中でヤマドリのドラム音が聞こえた。
これを書きながら思い出すと、やはりヤマドリがいる場所は鹿もいるのかも。

今回から、もうこの辺はどこの山も藪と台風の被害も含めた倒木がある前提で入ることにした。

また来るかもしれないので、次回に備えて経路上の藪を剪定しながら進む。
倒木に関しては細いものは切ったり、移動させたりするけど、チェーンソーがいる太さの倒木は手持ちのノコギリ等ではどうにもならないため、動かないか確認してからくぐったり、よじ登って跨いだり。
まず道から作る感じ。

登っていくと尾根近くの斜面で一度、ガサガサ音。
そのまま膝立ちで10分ほどジッとするが、何も出ず。
また行動開始して尾根に向かう。

しばらく登って尾根までもう少しの場所で濡れて新鮮な、出してそれほど経ってないシカの柔らかフンをみつけた。
さっきのガサガサ音の持ち主かも。

尾根の手前まで登りきり、そこからはそのままトラバースしつつ、尾根沿いに忍びつつ歩く。

途中で反対側の斜面からシカの「ピャッ!」という警戒音。
同じピャッ!ではあるが、去年まで行ってた場所と気持ち方言が違う気がする(気がするだけ)。

このピャッ!は勝手に誰何の問いかけだと思ってる。
「なんか音がするけど、誰だ?敵か?仲間か?」という。
ピーッ!は、「危ない!みんな逃げろー!!」・・・みたいな。

まあ、この話はいいとして。
おお、いるんだなぁ。今季、初めてまともに聞いた気がする。

ゆっくりと尾根に顔を出して周囲を双眼鏡で観察するも・・・・どこにいるかわからず。藪濃すぎ。

尾根の手前の斜面も反対側の斜面も荒れてるが、尾根上から続く一部だけは藪もほとんどなく、さらに枝払いもされていて管理されている感じ。歩きやすい。
割りと新しい感じの林の境界を示す立て札も点々と続いてる。

そこから尾根上をしばらく登りつつ、本日の目標にしていて今、自分がいる尾根からつながっている別の尾根方面に向かう。

途中、見上げると林道のガードレールが見える。
地図では確認済みの林道。
ただ、ずっと手前から倒木と土砂崩れで道がなくなっており、片方の入り口からは車ではここには入れなかった。反対側は入れるかどうかまだ未確認だった。

この時点で13時を過ぎており、そろそろ戻るかどうか少し考える。
一旦、銃カバーをしてから林道上に出て道路わきで休憩。

それほど時間が経たないうちに遠くからエンジン音が聞こえてきた。
最初、林道や山の中の倒木を切る作業をするチェーンソー?かと思ったら、エンジンをふかしてオフロードバイクが3台きた。

倒木や土砂崩れが撤去されて通れるようになったのかな?それとも、2輪だから行けた?
と思ったが、あとで調べると、どうやらまだやはり土砂崩れで通れず、反対側からアプローチしてきて行き止まりだったので戻ってきた人たちらしい。

バイクを見送りつつふと時計を見ると、やはりそろそろ撤退した方が良さそうな時間。
専門の登山の訓練を受けた人間でもなく、自衛隊とかの人でもないので明るいうちに安全に安全に。

ここまで藪と倒木によって例のごとく登りとトラバースにかなり時間を取られ時間も結構、遅くなったこともあり、目標の尾根に向かうのは中止して車に戻ることにした。

林道から出て、ここまで登ってきた場所とは谷を挟んで反対側の尾根あたりを戻りつつ徐々に降りていくも、降りていく斜面は登りの斜面よりも倒木と藪多し。
先日の台風のためなどで谷へ向かってまた倒木が多数。

苔が生えて朽ちた木も多く、元からあまり管理がされてない山の雰囲気。

山に入らせてもらってるので、できるだけ小さいゴミは拾いつつ歩いているけど、なぜか一升瓶も落ちており、さすがに鉄砲と合わせて急斜面を持っては歩けない。

しかし、登ってきた反対側はどうなってるのかなと思って来てみたが、降りる時に通ったこの尾根の斜面、登りの斜面と比べて地盤が非常に悪い。ちょっと後悔。
ところどころ青白い粘土質の土壌の上に腐葉土が載ってるような感じ。

とにかく滑る。付近に崖もないし、立てないほど急な斜面というわけではないのと、立木も藪も倒木もあるから下まで落ちたりはしないけど、何度も転んだり、転びそうになった。

体を横にして力をかける→力をかけた瞬間に足場が滑る→今立ってる場所ごと滑る。
全部だったら戻るのだが、大丈夫な場所も多く、表面上の見た目でわからないところであちこちでこの感じ。

転んで銃の上に乗らないように片手で持ってバランスを取りつつ降りる。
倒木をいくつも乗り越え、くぐり、迂回し、すでに狩猟じゃなくてアスレチック。

半端に折れてる太い倒木の上にまたがる様はほぼ「御柱祭り」(ちなみに、今季の登録は長野じゃないです)。
別に越えたくて越えてるわけじゃないんだけども。

一瞬、沢沿いに降りたらどうかと遭難者コースの思考で降りてみたら、当然のごとく斜面を滑り落ちて集まった倒木だらけ、プラスで浸食されて1mほどの滝になってる部分が何か所かあり断念。

※一応、再び同じ場所や反対側が登れそうな傾斜か地形かどうか見てから降りてます。でないと、谷にはまって遭難しかねないので。

この沢に降りるときにも足元の足場ごと崩れてズロロロロー・・・っと、ちょろちょろの沢まで1.5mほど滑落。
ケガしなくてよかったが、地盤の悪さに悪態をつく。

傾斜が比較的緩いのを確認して降りてきているのでケガはないが、銃もズボンも泥だらけ。

もう、降りてきた方をまた降りるのが嫌になり、地盤がマシな反対の急斜面を一旦どんどん登って倒木の束を乗り越え、くぐりつつ、少しトラバースして、だいたい登ってきたあたりの場所に出たので、そのままGPSの記録沿いに登ってきた経路を逆に降りて無事に車に到着。

この時点でちょうど15時。降りるにも1時間以上もかかってる。
すごい高山に登ってるわけじゃなく、状態が良ければ里山くらいなんだけど。

車のところで着替えて帰宅。

本日の反省。
・軟弱地盤に近寄らないに越したことはないが、滑落を防ぐためにロープもあった方がいいかもしれない。滑落は崖なら死んでいる。

・ウエストバッグは木を跨いだり、くぐるには良かったが、そもそもこんな状態の山と地形で狩猟して、獲れたとしても引き出せないと思った。