とあるハンターの外部記憶

かりびと見習い。釣り人的な。

鹿の解体教室に参加

狩猟免許は取ったけど、銃の所持許可はまだです。

かと言って、都内から短期で罠をかけに行くのは無理そう。
ルール上も罠を設置したら、あとは放置ってわけにはいきませんので・・・。

まだ、猟友会にも入っておらず、どの都道府県にも狩猟者登録もしておらず。
銃の所持許可までもまだ途上であり、道具だけがどんどん揃っていく・・・。
そんな時に見つけたのが、

「鹿の解体教室」

 いずれ猟友会に入って狩猟に参加するにしても、少しでも解体は覚えておきたいと思いまして、参加してみました。狩猟を始められるにしても来年以降になりそうなので、せめて、ハンターの気分だけでも味わおうと・・・。

技術としては当然ながら1人で狩猟をすることになってしまっても、多数でやるにしてもやはり必要になることかなと思います。

多くの人は狩猟をしながら解体を覚えていくことだと思いますが、お金を払って教えてもらう分、遠慮せずにいろいろと聞きやすいというのもありますし、実際の狩猟と違って少し適当になっても他の人に迷惑をかけずに済みます。

イベント進行や時間の関係から片づけも、ほとんどは主催側のスタッフにお任せであり、使い終わったナイフだって研ぐ必要もありませんし、使った器具の洗浄や片付けもお任せです。
これは(狩猟免許を持っていない人にとっても)入門としてはかなりハードルが下がります。

これが、普通に狩猟として他の人と行った場合は、なかなかこういうことでは困るでしょう。
一緒に参加してるのに解体も片付けも中途半端では人間関係にも影響してきそうです・・・。
今回は有料イベントですから、特にそういうしがらみもありません。

経験豊富なベテランの方から見ると「解体を教えるごときでお金を取るなんて・・」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、前述のように入門向けに至れり尽くせりであり、狩猟のすそ野を広げる入り口としては非常に良いイベントだと思いました。

実際、参加者の中には、このイベントを通して狩猟に興味を持ち、「免許取ってみようかな・・」という人もいました。
これで興味を持つ人が増えて狩猟者人口が増えれば、高齢化して地域により狩猟者コミュニティが瓦解したり、技術や知識の伝承の流れが切れたりしつつある状況も改善されるといいなと思います。

ちなみに、鹿ですがリアルタイムで捕獲したホカホカのものを解体するわけではなく、内臓が取られ、しかもいったん冷凍してマダニなどを極力死なせた状態の鹿でした。
内臓は止め刺しした後、すぐに取らないと臭いが肉に移ってしまうなどの理由があるそうです。
これを解凍したものなので、お肉もヒヤヒヤに冷たくて入門者がゆっくり作業していても腐敗が進んだりしにくいです。

それでも十分勉強になりました。
解体しながら、実際の狩猟で解体時には生きたマダニがいることや、どういう風に虫よけ等を使ってマダニを排除するかなどの他、入門者向けの注意点も具体例を挙げつつ、丁寧に教えてもらいながら解体作業をしていきます。

当日、イベント開催地に行くと、十数名の参加者がいました(生の鹿を使うのと、解体場所の関係上、参加可能な定員に限度があります)。
テレビ広告やネット広告を出してるわけではなく、比較的短期間のウェブサイトやSNSでの宣伝だけのようなのに人が集まるんですね。
昨今の狩猟への関心の高さを感じます。

参加者は解体や狩猟以前に、普段は料理もしないという人から、狩猟免許を持っているけどまだ獲ったことがないという人まで様々でした。男女比では男性が少し多いけど、女性も数人。年代も様々です。

道具類は使いきりの手袋と、よく研がれたナイフも用意してありました。
ちなみに、解体用は有名なモーラナイフでした。
 別途、肉を薄切りにしたり加工する時用に包丁類も用意されており、それぞれの場面にあった刃物を使うと効率が良いということも実感できました。
手を洗ったりする水洗設備、消毒するアルコール類その他もありました。

解体については、内臓以外はすべてついている鹿を使って学びますから、皮からはいで、四肢や首の骨を外して、骨と肉を分離してロースやモモ肉など各部位に分けてというところまで学んでいきます。
実践的でとても勉強になりました。

人数を適当に分けて、吊るして解体する方法と、寝かせたまま解体する方法の好きな方を学べます。
ただ、当然ながら肉をスパスパと切れる本物の刃物を使いますから、普段から自分で調理などをしてる人の方がいいかなと思います。

参加した人も多くが鹿の解体など初めての人ばかりで、ナイフの扱いも手馴れているとは全くいえず、各部位に解体するまで、おっかなびっくりで2時間は四苦八苦していたと思いますが、時間はあっという間です。ほんとに。
写真を撮る余裕がないくらい作業してました(なので写真がありません・・・)。

初めてなので、解体ですら時間がかかってしまっていますが、実際の狩猟は捕獲した後に、血抜きして、場合によりその場で内臓を抜いて、何十kg、時に100kg以上ある獲物を山から引っぱりだして、川なり施設なりの解体できる場所に移動して、それから今回のような解体作業ですから・・・。

早朝から午前中早めに捕獲できたとしても、そこからはかなり手際よくやらないと毎日深夜までかかってしまいそうです。そういう時間感覚の勉強にもなりました。がんばって手際よくできるようになり、かつ体力と腕力も鍛えようと思いました。
頭で理解していたつもりでも、やってみないとなかなか実感がわきません。
○○kgの獲物なんて、文章で字面で見てるとわかりませんが、持ってみるとあたり前ですが、かなり重いです。

解体が一通り終わった後は昼飯も出ましたし、さらには近場の山に、犬をつれて歩き、狩猟についてのレクチャーや基礎的な知識も教えてもらいました。まさに至れり尽くせり。
全体を通して指導やお世話してくださる方々の人数から考えると、正直なところ主催者側は、ほぼボランティアに近いのではないか?と思われるような非常に(私個人としては)お得な内容だと思いました。

最後に。
解体は半分外のような場所で解体しますから、風も入りますし、今からだと寒いです。
でも、気温が高いと解体中にお肉が悪くなってしまいますし、これでいいかなと思います。

こういうイベントに参加される方は、(血や鹿の皮に生きたマダニがいる可能性などの関係で)ちゃんと腕まくりできて、汚れても良い恰好で、カイロなども貼って十分に防寒をしていくと、いいかと思います。

(著者注: ※この文章をベテランになってから見て、ニヤニヤしようかと思います(´・ω・`)