とあるハンターの外部記憶

かりびと見習い。釣り人的な。

今期、初下見&初出猟(2018年11月下旬~12月初旬)

猟期が始まったが、諸事情でなかなか行けず、猟期前の射撃練習も出発する数日前にやっとでしたが、なんとか行くことができました。

結論を書くと2018年の初出猟は発砲すらしていません。
主目的の鹿は目撃3頭のみ。


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1日目。下見。

諸事情で猟期前の下見に行けなかったので、まずは今年の2月以降に行った場所から順に下見。

1か所目、途中、下見に行くのと同じ林道方向に走るジムニーを見かける。
あれ?もしかして同じ場所に行く?と思ったら目指してた林道に入って行ったので、危険を避けるために行くのを止めた。

2か所目は、去年と同程度の糞があり、昨年も2回、鹿を見かけたが糞や足跡など痕跡は少ない。

3カ所目、昨年、足の踏み場の無いほど、まるで節分の豆まきみたいに糞があった場所では、痕跡がゼロに近い綺麗な状態。

古い糞は微生物等に分解されて岩海苔?かのような感じになるのかな。黒く乾いた小さく枯葉みたいになっている感じで、それが大量にあり、新しめの糞はなかった。

そのすぐ近くの歩き回った山に入るとフンが少し落ちているが、今年2月ほどではない。
単にまだ紅葉が残っている時期であり、自分以外の車もたまに上がってくるので雪が降ると変わるのかもしれない。

今年はこの地域では春から熱心に有害鳥獣駆除をしたと聞いたので、シカが警戒心を持っているのかも。
ただ、積雪の後に他の車や人が来ない時期に行って見てみないと本当のところはどうなのか、経験が無さ過ぎて判断できない。

4カ所目、初めて地元の人が行く方面の山が、どんな感じになっているか見に行ってみた。鹿を見たいなという要求を満たせるかもしれないということで。
周辺で停車中の車や駆除等の気配がないかは注意しつつ、目立つ格好で行って見る。
春先には群れで大量に見かけたという情報も得ていたので、見れるかな・・と。

山の上に登ってみると木が枯れて下草もなく開けていて、さすが鹿が多い場所は食害が酷く地面が荒れていた。






確かに糞は多数あるが、少し古い感じ。
猟期になると、近くの鳥獣保護区に逃げてしまうのかも・・・。

尾根をそっと超えて向こう側に鹿がいないかなと双眼鏡でのぞくも何もいない(ように見える)。

山というか丘の稜線上は木がなく非常に見通しが良い。
丘を跨ぐように延々と鹿よけの網があるが、道路の上は網を通せないのであまり意味がない気もした。

5カ所目、前に鹿を見た山の反対側を通る林道にも行って見たが、反対側は痕跡がない。


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2日目。今期、初出猟。危険を感じる状況に出会う。

少し寝坊して、山に入る時点ではすっかり明るくなっていた。

前猟期に回った中で、昨日は他のハンターが入っていたため下見に行けなかった林道に行って見ると、こちらは前猟期と同じくらいに糞や足跡など痕跡がある。

もし、先に入ってる感じの人がいたら目的地を変更して別の場所に行くべく複数の候補は用意してある。

前回の反省から、あらかじめ目標とする林道に入る前に、通り道にしている山越えの別の林道の横にある開けているスペースに車を停めて、銃も組み立て銃カバーをし、ついでに朝飯も食べて、着替えて腰回りの装備もつけて、いつでも山に入れる状態にしてから目的地の林道および入林地点に向かった。

今回の目的地は、下見を含めて何度も行ってるが、昨年末~今年2月、3月は全然人がおらずハンターっぽい車に出会ったのは延長猟期に行った時の1日だけ。

今年は短期で2回、昨日と合わせて、今日は別の軽自動車にも出会った(後述)。

3月の時点で崩落しかかった林道の路肩も整備され、前期より入りやすくなったからかも。

この林道は、すでに昨日もハンターが入った感じなので、鹿もいないかもとは思ったが状況確認の下見も兼ねてるので、他に車などがいないのを確認して林道わきに車を停めて山に入った。

今さらながら、スパイク長靴は枯れ枝や葉っぱを踏むと盛大に音が出るので、忍び猟には向かない気がする。

多少の尖った枝や、沢を超える場合も水には強いのはメリットではあるし、土砂や葉っぱで滑る斜面を登るにも威力を発揮するが、単独猟だと音はやはり大きなデメリット。

林道から入った山は沢を挟んで斜面の片側に林業の作業道があり、作業道は雨の影響などで何か所か深く崩壊していて途切れていた。
この作業道を登っていくとフンなど痕跡はあるが、鹿には会わなかった(いたけど、気づかないだけの可能性も高い)。

途中から作業道を外れて林の中に入って行き、計3時間ほど山の中を探索するも何もなし。

終盤、一度だけ沢沿いの斜面で何かの気配がした気がして(はっきりと何かの音がしたわけではなく、沢をチョロチョロと水が流れる音もするし、感覚的なもの)、3分ほどジッとしていたが「気のせいか・・」と思って3歩ほどそっと動くと、「ピャッ!」という声。

ジッとして双眼鏡で周囲を探すもどこにいるかわからず。
疲れてきたし、他の場所も見に行きたかったのでそこから山を下りてきた。

車を停めた林道が近づいたので、山の中で銃カバーをかけてから出てくると、あれっ?100メートルほど離れた場所に入る時はいなかった緑系の色の古めの軽自動車が止まっている・・・。

うーん、ハンターだろうか?
当方の車を停めたスペースは車4~5台は止められる開けたスペースだが、そこには止めずに100メートル離れた林道わきのスペースに止めている。

別の場所の下見に行くためと、今日は狩猟はしないつもりで着替えたり、飲食しつつ休んでいるうちに10分くらい経ったところで、100メートル以内の尾根の向こう側ではありますが、同じ山から銃を持ったハンターが出てきました。
銃はスコープなしの自動銃に見えました。
ちなみに、林道に入る時にちゃんとカバーはつけてました。

・年齢は30~50代?(推定)。
・猟友会ベストや猟友会帽子などのオレンジや黄色系の服は着ていない。
・茶系っぽいベストや濃い色の帽子は着けていて、袖は青、ズボンも緑系。
・私が歩いた作業道への入り口がある場所とは直線距離で100メートル以内。
・出てきたのは小さい尾根を1つ挟んだ場所。

この人がいる側に尾根を越えてから降りて来なくて良かったな・・・と正直に思いました。

山から出てきた後は、私が乗ってる車の方をチラっと見た後、車に銃をしまい込んで何かされてましたが、私の方は出発する準備が出来たので車を出してその場を離れました。

この林道は先は行き止まりであり、狭い林道で車が停めてある方向を見ても明らかに後から登ってきていると思われます。

そもそも山林に入る前にも林道上の鹿の痕跡と周辺を双眼鏡でもチェックしており、付近に車がない事も確認しており、当方の車の色も遠くからわかる目立つ色です。

車の窓にも狩猟をしている旨を掲示していますから、林道を登ってきて車等の存在に全く気付かないということもないでしょう。

確かに私一人の山でもないし、他の人が入るのは止める権利はないです。
他の入林者や登山者がいることも考慮して、十分注意は払っていますが、既に狩猟に入っている可能性があるところに、何の連携もせず銃を持って入ってくる人がいるというのはやはり怖いです。

前日もハンターっぽい車を見てるので、事故を避けるため、しばらくこの場所に来るのは止めることにしました。

山に入る前に、途中や周辺に他の車が無いかとか、人の気配や犬の鳴き声等がしないかとかは気をつけますけど、後からほとんど同じ場所に車を停めて、ほぼ同じ場所に銃を持って入ってくるとかはチェックが難しい。
とにかく、こちらから目立つ色の服装をして存在をアピールするしかないです。

その後は、また探索候補にしていた別の林道2か所に向かう。
1つ目は今年2月にも来ている場所で鹿を見た場所を軽くチェック。
2つ目は、初めての場所。林道の入り口の電柱に、2018年の春先の有害鳥獣駆除の予定が貼ってあった。週1~週2で鹿の駆除をしていた模様。

もしかしたら駆除の人や別のハンターが入ってる可能性もあるので、一応、慎重に林道を入って行って見ると誰もおらず。
というか、今回の出猟でハンターに会ったのは上述の林道だけ。
他は貸し切り的な感じで誰も見かけず。

ここも人が頻繁に入っている感じもない。
沢沿いだが、大きめの砂防ダム近くで開けていていい感じの場所。

元は谷だったのが砂で埋まったのかも。
少し進むと林道が崩壊していたので、その手前の空き地に車を止めて、林道と思われる方に歩いてみることにした。

午前中の探索の後、一旦、着替えちゃったけど、どちらにしても銃と弾は車に置いていけないので、またオレンジの服に着替えて猟友会ベストと帽子を装着。
弾入れは腰に差して、銃は分解したままソフトケースごと担いで、崩落した林道沿いを歩いた。

林道が崩落した先は、沢になってるのかと思ったが、途中で国土地理院の地図を見たらちゃんと地図に載っている林道だった。

林道の真ん中が侵食されて沢に見えるだけだった。
恐らく雨が降ると林道近くを流れていた沢の経路が一部変わって、この林道だった場所の真ん中か轍を通って水が流れ、それで徐々に削られていった感じなのだろう。
そのために、林道だった場所が地面から1メートルちょいの深さまで削られて沢のようになってしまっている模様。
林道だったところの途中から窪みがまた沢に合流していた。

さらに「林道」沿いを奥に行くと、沢越えの場所にあったガードレールが現れ、これも折れたりして地面から1.5メートルくらいの深さの沢に落ちてる。

もうしばらくいくと、崩壊してない林道が残っていた。
沢から離れていたので雨等で流されなかったのかなと思う。
地図上だと、この林道はこの先の尾根の間の谷で行き止まり。
鹿の痕跡は多くは無いが、フンは落ちてる。でも少し時間が経っている感じ。

林道の突き当りまで行って見ようと進んでいくと両脇の林と藪が濃くなって急に湿っぽくなり、林道が泥濘になっている場所がところどころある場所に出てきた。

動物の痕跡を確認しながら進むと、鹿の痕跡は無くなり、さらに進んでみると林道上の泥の上にはっきりと指の跡が5本ある大きな足跡が2つあった。
ここまではっきり跡があったら見間違えないと思いますが・・・熊です。

しかもはっきりしていて、比較的新しめの足跡に見えた(そう見えただけ、かも)。
まずいかな?と思い始める。

弾も銃もあるけど、下見で適当に戻るつもりで銃はソフトケースに入ったままで、組み立ててない。
バックパックも熊スプレーも車に置いてきてしまった(許可証類は常に身に着けてます、念のため)。

ここに止まって銃を組み立てて、先に進むことも考えたが、午後にかかっていて、林の中も暗くなってきてるし、左右の見通しも悪いし、撤退した方がいいかなと思い、とりあえずはそのまますぐに少し戻った開けた明るい場所まで撤退。
そのまま周囲を警戒しつつ車まで戻った。

今回も怖くて引き上げることに意識がいって、足跡の写真を取り忘れた。
他でも写真を撮っているが山の中で暗いのでピンボケも多い。
暗い場所で綺麗に取れる方法も考えないと。


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3日目、全く別の場所を下見。

1日目、2日目とは数十キロ離れたぜんぜん別の場所に下見。
こちらはイノシシが多い地域で、ツキノワグマもいる。

県が発表してる熊の目撃例からしても付近の山に常住してる感じ。

ところが、下見のために目的地に近づくと強めの雨が降り出し、山に入るどころではなくなる。
複数の林道を巡っただけで終了。

道端も鹿の痕跡はなく林道わきも藪が深くて見通しが悪く、近隣の畑にもイノシシ除けの網があり、たぶんイノシシは結構いるんだろうなという感じ。

前猟期にも書いた気がするが、犬がいないと厳しそう。
見通しも悪いし。

せめて雪が降るようになって、熊が完全に冬眠して下草が雪で隠れてからかな。


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4日目。

2日前に下見に行った林道に行くことにした。
奥の方には熊の足跡もあった新規の場所。

準備して、熊がいそうな奥の方ではなく、林道が崩落してるより手前の方の開けた方に隣接した山に入ってみる。

開けた場所にも糞があったが、山に入るとさらに鹿の糞が増えて、今季、初めて見たくらいにいっぱい糞が落ちてる。

鹿の寝屋と思われる場所も見つけた。
毛も落ちていたので、そうだと思うのですけど。
自信はない(キリッ。


でも、いずれもここ数日のものでもない感じ。
写真は撮ったけど、スマホでピント合わせたつもりがピンボケになっていた。

少し歩き回ってみたが、鹿は見かけず。
今期、ここまで一度も鹿を生で見ていない。

まだ暖かいので、今年2月、3月と比べると、もう少し山の奥の方にいるのかも。
4時間ほど探索して11時前に終了。

この後、この日に回った場所から山を1つ挟んだ反対側の林道に移動して下見。

林道上でヤマドリのメスと思われる鳥を発見。
翌日、同じ場所でオスも見かけたので多分、ヤマドリだと思うんですが(自信ない)。

車が来ると思ってなかったのか林道の真ん中に(寝て?)いたのか、慌てて走って林道の山側の斜面の1メートルほどの土壁を8割くらい登ったところで足を滑らせて、林道の真ん中まで勢いよく転げ落ち、一瞬で起き上がって必死で走りつつ羽ばたきつつ今度は無事、斜面を登って逃げて行った。
ドジっ子ヤマドリ。

これを書いてからドライブレコーダーの記録に残ってるんじゃないかと思ってチェックしたら、見事すでに上書きされてました。

ここを登ると日当たりが良い伐採地があり、沢もありということで、見通しがよくて水場があり、鹿がいそうな雰囲気がする。

あと、ヤマドリがいる場所の近くは鹿もいるような気もする。
前期も鹿がいる場所でヤマドリを見た。
他の鳥の種類も多い気がする。

鳥に詳しい人に聞くと「推測だけど、鹿が下草を食べるのでミミズや虫などの餌を探しやすいからではないか?」とのこと。
なんとなくそれが正しい気もする。所謂、共生というか。

鳥が多いと言うことで、侵入者が大手を振って入ってくると鳥がざわつくので鹿にとっても外敵を警戒しやすいのかも等と適当なことも考えてみる。

林道の途中、伐採地近くの林道わきの広い空きスペースに車を停める。
車が10台以上止められそうなスペース。

これから登ろうとする伐採地からはここは死角になっていて見えない(後で頂上からも確認した)。

伐採地の頂上あたりに寝てたりしないかな・・・と(適当に)見当をつけ車を降りると、車を停めたスペースのあたりにも糞もそれなりに落ちてる。
しかも比較的新しい。

車のドアを音がしないようにそっと閉めて出発。
それなりに傾斜があるので軽装じゃないと登れなさそうだったため、猟友会ベストと帽子を身に着けて、銃と銃カバー、弾と許可証類、水だけ持ってできるだけ軽装で探索。

靴はスパイク長靴ではなく、トレッキングなどに行くときに使用しているGTホーキンスのトレッキングシューズを履いてみた(というか、いつもこれを履いて車で猟場に向かっているので、そのまんまとも言う、決して履き替えるのが面倒だったわけではない)。

歩いてみると、足音を消しやすい。
ここの伐採地は綺麗に草も枯葉もなくて(片づけてある?)、枝を避ければ音も出にくい。

正直、伐採地なので切株と少数の細い木、草以外は背が高い木はほぼなくて、先に発見されるのは想定内というか仕方ない。
とにかく今期の初出猟で1回くらいは鹿を見たいなという気持ち。

斜面を登っていくと7割くらい登ったところで「ピャッ!」という鹿の声。
ああ、見つかったか・・・と思いつつ、しばらくジッとして周辺の草や枯れ木の影で鳥が鳴き始めてから、またゆっくりと忍び足で歩き出す。

「とりあえず、鹿がいることはいるんだな・・・」
自分の推測が当たったので、単純に嬉しい。

弾を1発だけ手に持ちつつ、銃をいつでも構えられるようにして慎重にゆっくり登っていく。
スコープの倍率も6倍だと視野が狭いので4倍くらいに合わせておいてみた。

傾斜がきついので休み休み登る。
頂上まで直線距離で20メートルほどのところで「ピーッ!」と警戒音。
頂上の方を見ると鹿が顔を出してから、逃げ始めた。
シルエットを見ると、メス?小鹿?比較的小さめ。

弾を入れて銃を構えるが、鹿は尾根上を走るのでバックストップがない。
おまけに撃ち上げになるので撃てず。

1頭だけかと思ったら、一瞬遅れてもう一度、「ピーッ!」。
同じ場所から尾根上を走っていく同じくらいのサイズの2頭め、3頭めの頭からお尻付近までの胴体が見えたが、すぐに尾根の影に入って視界から消える。

一旦弾を抜いて最短距離で頑張って登っていくも3分以上はかかってると思う。

尾根の上に出て周辺を見るも当然いない。
尾根上は平らになっていて、糞がたくさん落ちていた。

鹿が逃げた方角は伐採後の枯れ枝等と藪で、登ってきた方よりも急斜面になっており、尾根上には土を蹴った深い足跡がいくつか残っていた。
急斜面手前まで足跡を追って、急斜面の藪を見下ろしてみるが、どこにいるか全然わからない。

すでに先に逃げた鹿が?尾根から谷に下りて。さらに反対側の伐採されていない針葉樹の斜面に上ったのか、反対側の山の方から「ピーッ!」と鳴いている。

この斜面じゃ降りて追いかけるのは無理だな・・ということで、あきらめる。

弾をしまって、鹿が寝ていたと思われる場所と見晴らしをチェック。
鹿から自分が登ってきたところがどのように見えるかも見る。

狩猟の拠点場所に帰ってからネットで調べると、こうやって鹿が寝屋とか昼寝してるところとかに入って踏み荒らしてしまうと、すぐに場所を変えてしまう(らしい)。

ハンター(見習い)から、鹿の寝屋荒らしに名前を変えないといけない。

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5日目。

早朝から出猟。
前日、鹿を3頭見れたこともあって、伐採地と伐採地周辺にいる鹿の状況を確認したくなり、昨日下見した伐採地に別方向、別ルートからアクセスしてみることにした。
前日は北東側からだったのをほぼ南側からチャレンジ。

国土地理院の地図を眺めて、伐採地にアクセスしやすい林道というか作業道があるのはわかったので、この使用されてないっぽい林道を登り、途中から林道を外れて傾斜が緩そうな場所を登っていくプランで考えてみた。

早朝はたぶん気温0度近くで寒かったが日が昇るにつれて気温が上がり15度くらいにはなったと思う。

昨日の伐採地の近くまで続く林道を忍びながら登っていくと、400メートルほど入ったところで林道が途中の沢で切れて、沢の向こうに渡ると枝分かれした作業道の名残みたいな感じの道になっていた。

そのまま国土地理院の地図にある点線の林道から外れて、あらかじめ目星をつけておいた傾斜が緩そうな地点から伐採地に向けて登りだす。

ジオグラフィカで位置と地図を確認しながら傾斜が緩いはずの場所に向かっていくと、何気に作業道の名残も傾斜が緩い場所にそって作られている。おかげで伐採地の近くまで楽に登れた。
こういうのは実際に山に入ってみないとわからない。

この日もスパイク長靴ではなく、トレッキングシューズとゲイターを使用。
脚の小指あたりから外側のフチを先に付けるような歩き方で枝を踏まないようにすれば、踏むときの音をかなり抑えられる。

沢を超えたあたりであまりの暑さに最低限の長袖以外は脱いで行動継続。

このすぐ先に鹿マンション的な鹿集合地があると思っていなかったので、枯葉を落とすのにバッサバッサしてしまった(それまで忍んできた意味がない)。

前に装備品で紹介した中国から買ったオレンジ迷彩は0度前後あたりだと、中にフリース等やスポーツ系の素材のものを着れば風も防げてちょうどいい感じの温度になるのだが、15度とかだと水滴でびっしょりになってた。
暖かい時の装備を考えないと・・・。

さらに、昨日の伐採地を目指して作業道の名残を少し登ると、木が少し疎らで落ち葉が積もった少し開けた場所に出た。

この一帯は鹿のマンションとでもいう感じでフンだらけ。
昨日午前中に行った山より数倍以上多い。

適度に平らな場所があり、また1~2メートル上がるとまた大小の平らな場所があり、段々畑じゃなく、段々寝屋になっている感じ。
糞も比較的新しい。乾いてるものもあるが、とにかく数が多い。

この辺は既に携帯の電波が入らないのでフライトモードにして電池を節約。
Bluetooth無線LANも携帯の電波も一定間隔で接続先を探す動作をするので、圏外だとどんどん電池を消費してしまう。

スマホ上にあらかじめジオグラフィカでキャッシュしておいた地図とスマホのGPSの位置情報を確認しながら、さらに前日下見して鹿がいた伐採地方面へ作業道を進むと、湯気は立っていないが他の糞と違ってまだ茶色く、排せつしたてっぽい柔らかそうな鹿の糞(フン)を見つけた。
写真で取ると黒く写って違いがわからなかったが、肉眼で見ると他の糞より明らかに茶色い。ホヤホヤ感がある。

さらに近くには踏ん張って地面を蹴ったような深い足跡。
あれ?これは、もしかして近くにいる?

周辺を見回すも・・わからない。本当にわからない。
少し歩くとまた地面を蹴ったような深い足跡があり、そのまま追うと伐採地の端近くに出た。

木の影から周辺の伐採地を双眼鏡でくまなく見てみるが何もいない(ように見える)。
警戒音とかもなし。

ここから伐採地の斜面を登るか、作業道をまだ上るか考えて、当初の目的である伐採地の上に出てみることにした。

この日はバックパックも背負っているので銃、弾、双眼鏡などと合わせて結構重い。8kg以上くらい?
これ、荷物を見直さないとダメだななどと考えつつ、ゆっくり斜面を登る。

6割ほど登ったところで、切株に座って休憩。
一度、切株が斜面に対して斜めなのに気づかず、リュックの重さもあって後ろにずっこけそうになる。

水を飲みつつ数分ほど「あー・・・・」ってな感じで、周辺を眺めて静かにぼーっとしてると、突然、さっき登っていかなかった作業道の先の藪の方から、盛大な「バキバキバキバキ・・・ガサガサ・・・バキ、バキバキ・・・」という連続音と、何とも形容しがたい鼻息っぽい音が聞こえ始める。

表現が難しいが「ヌフゥ・・ホゥフゥ~、ホゥ・・ホッフゥ~」みたいな。

中年のおじさんっぽい鼻息を苦しそうにしたのをさらに強くしたような?
かなり大きなものが移動してる音が聞こえる。

自分がいる斜面から見える場所で、藪がある方向は1方向であり、他は伐採してあるか、針葉樹が生えてはいるが藪や下草がほとんどないので地面まで見えて見晴らしは良い。

音がする方向をずっと双眼鏡でのぞいてみるも藪や木が揺れてるとかは見えない。

さっきの新鮮な糞の持ち主だろうか。
ガサドンはできないので、姿が見えないと撃てない。

斜面を降りて追いかけてもいいが、今登ってきた場所を降りるのか・・どうしようかと思っているうちに数分して音がしなくなった。

(ここでなぜ少し躊躇してるかというと、斜面の登り降りがキツイのもありますが、ここに来るまでに林道と作業道を1km弱くらい入ってきており、ここで捕獲するとつまりはこの距離をひっぱるか、分割して担いで何回か往復して引き出す必要が出てくるというのもありました。ただ、もし獲れちゃったら、血抜きしてなんとか沢まで引っ張ってきたら、なんとか入れるところまで林道に車を入れてきて、運搬距離の削減は目指しますが・・・かつ、可能なら知人友人の応援も呼びます)

この後は、こちらも斜面を登り切って昨日、鹿を見かけた伐採地の頂上の方に歩いてみるも何もいない。
ただし、糞は古めのも含めて大量に落ちている。

周辺を双眼鏡で見て回るも、何も検出できず。
とりあえず写真を撮って、より傾斜が緩い場所を辿って元来た林道の方へ戻ることにした。

帰りはやはり気になって、先ほどガサガサ音がした作業道の方を周ってみる。
自分が登ってきた場所からだと、一旦、谷部分に下りてからまた同じような傾斜も含めて登る場所があったのに対して、上からだと頂上付近を周るように作られている伐採用と思われる作業道の途中からの分岐があり、アクセスしやすかったのもある。

作業道を下っていくと作業道上にも藪が少し茂り、枝がゴーグルに当たるがこれをかき分けながら降りていく。

作業道が切れたので下を見ると1~2メートル下に作業道の名残っぽい平らな部分がある。木を掴みながら斜面を下の作業道っぽい場所に、半分滑るように降りたりしながら、また作業道を辿りつつ藪を払いながら降りていく。
子供の頃もこんな場所で遊んでたなと思い出す。今だったら「危ないよ!」と怒るか注意するかも。

(ちなみに、掴む木ですが、事前にひっぱったり、枯れてないかや新鮮さ、太さ、丈夫さを確認して体重の一部を支えられるかどうかを確認してから体重をかけるようにしています。突然、全体重をかけて完全に木や枝に支えを頼るようなやり方すると、意図せずに折れたり地面から木ごと抜けたりした時に怪我します・・という子供の頃の実経験があったりなかったり。あくまでもサポート。木が折れても抜けても一気に転落しない場所か落ちても死なない場所でやりましょう。本気で崖みたいな斜面を降りるにはロープを固定する場所をしっかり選んだりロープワークとか降下の方法とかちゃんと勉強する必要があると思いますが、私にはできません。)

確かにこの斜面を降りる時は、先ほど聞いたのと同じような結構なガサガサ、バキバキ音がする。登るのも大変そう。

伐採地の斜面を登っていく前に、伐採地の斜面を登るか、この作業道付近を作業道に沿って登るか考えた時に、この作業道方面に行かなかったのは藪が結構あったからというのもある。

鹿?も当然、そこは見越して追って来づらい、身を隠せるほうに向かったのかなと思う。伐採地の斜面なんか登って逃げたら、狙い放題ですしね。

藪が茂る作業道を抜けて、藪がない開けた鹿マンションまで出てきたところで、後は元来た経路をGPSの軌跡も見ながら、逆に辿って車まで戻ってきた。

(伐採地への行きの行程も地図や方角も確認しつつ、後ろも振り返りつつ来てはいるけど、それでも帰りは似たような風景に遭遇して一瞬、どっちだっけ?となることがありました。その時はまた地図や方角を確認して(今回の場合はGPSの軌跡を確認して)、来た道を確実に戻って行きました。森の中は木々のために暗くなるのが早く、さらには日没になって暗くなると風景に頼る行動はできないので、やはりしっかり準備とバックアップを用意して、明るいうちに下りるのが理想かなと思います。一応、バックパックにも防水袋に入れた紙の地図とコンパスも持っています。ICT機器は電池がなくなったり、壊れることもあるので。)

この後、車の中で昼飯を食べてから、もう一度、昨日、鹿を三頭みた尾根につながる側の林道にも行ってみた。
途中で丸々太った狸を1匹、ヤマドリのオス1羽と思われる鳥を見かける。
ヤマドリのオスと思われる鳥は昨日、メスと思われるヤマドリを見た地点とほぼ同じ場所。
(※暗い場所でピンボケ写真だったので、多少マシにするためにアンシャープマスクをかけてあります)

この後、昨日のルートで鹿がいた尾根にも上ってみたが、さすがにいなかった。
午前中に上った尾根は鹿を見た尾根からは直線距離で200メートル未満。
この辺の地形がだんだんわかってきた。

この日、登った合計高度は400メートルほど(200メートルx2)、歩いた距離は4kmちょい。

今回の出猟はこんな感じで終わりです。