とあるハンターの外部記憶

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ツキノワグマ対策で盾を買ってみた[注意:ロマン枠です] (2019年8月)

ツキノワグマ対策で盾を買ってみた(2019年8月)[ロマン枠]

というわけで、盾を買ってみた(ロマン枠)。

ツキノワグマに人が襲われた時の事故事例を見ると、当然ながら爪で切りつけられるか、噛まれるか、またはその両方で、しかも最初の数撃で致命的かケガの大半を占めるようなダメージをもらってしまうことが多い模様。




そんなわけで、特に下見の時とかは猟期でもないと銃や装弾を持って行けないので、そこで熊用スプレーとヘルメットとか対刃の肘カバー、腕カバーとかいろいろと妄想しながら装備を整えて(?)みてるわけだけど・・・今回はその続きみたいなメモ。

基本的に、ツキノワグマが冬眠していない時期に下見で山に入って万一襲われても、最初の数撃を直接いただかないか、運よく何発かやり過ごして、その間にクマ用スプレーとか使って相手側に退散してもらうのが大事だなと思った次第。
(ベストは偶発的遭遇をしないか、しても向こうがすぐに逃げることだけど)

以前、防刃腕カバーなんてのも買ってみてるのだけど、あれは爪の切り付けは防げるかもしれないけど、打撃はどうだろう?と考えた場合、やっぱりちょっと無理そう(骨折しそう)ということになった。

クマに襲われた場合にどんなケガが多いかというのは「クマ外傷」とかでグーグル検索してみると事例が出てくる。

やはり文句なしに多いのが顔面や手足の裂傷。
ゴリマッチョな相手から繰り出される刃物付き鈍器(腕+爪)をひ弱な人類の素手のみの防御で顔や手足、体に受けるわけだから、そりゃそうなるなというケガの内容。

肋骨や頭蓋骨骨折というのもあり、張り倒された拍子に木にぶつかったりもあるだろうけども、噛まれたり腕の振りがそのまま鈍器でおもいっきり殴られている感じになっているようにも取れる。

で、こういうケガへの対策としていろいろと検討してる中で、たまたまテレビで見たのが、昨今のデモ隊と衝突する香港警察の映像。

見ていると、みんな手に盾を持っている。
むむ、もしかして正解はコレじゃないか?
(※一応、補足しておくと、海外のデモや衝突、各主張の是非についてはここでは特に何も書きません。どうするにしろ、自らの国のことを決めるべきは各国の国民自身だと思うので。あくまで装備の部分のみ見てます)

というわけで、警官が盾で攻撃を防いでるのを見て、盾って実際どうだろなーとか思って検討し、実際に使ってみないとわからんということで、ほんとに買ってみた次第。

購入前には、歴史上の戦争での盾の形状や使い方を調べたり、さらに現代の盾と使い方を調べたり、脱線気味だけど楽しい。

現在、世界各地のデモや暴動対応等に動員される警官等の画像を見ると、透明な盾を使うことが多い感じ。

むかーしの大事件である「あさま山荘事件」の頃は日本の警察もジュラルミン(アルミ合金)の盾が主流だったと思うけど、現在は対人間用の盾は透明のポリカーボネート製の盾が流行りの模様で、予算に合わせて徐々に導入されてる感じ。

現代で使われる盾の形状は上半身を隠せるくらいの円形や体を半分隠せるくらいの方形が多そうな感じ。

警察用のポリカーボネート製の盾だと厚さは5~10mm?くらいっぽい(適当調べ)、警備員とか学校での不審者対策での防衛など民生向けだと厚さ3~5mmが多い感じ。
民生用は薄いですけど、その分、お値段も安価で、これでも通常の刃物や金属の棒等は十分に防げるようです。
厚く大きくなると、その分重くなるので、普段から鍛えている機動隊とか軍人とかでない一般人でより非力な人が使う可能性も考えると、重さの要素も大事なので合理的な気がした。

対人対応で透明なポリカーボネートの盾が採用されるのには、それなりの理由がある模様。

人間相手の場合は相手の攻撃を防ぐにも、周辺の状況や盾の向こう側の状況を見るにも、透明な方が便利なのと、素材としてはポリカーボネートは傷はつきやすいものの衝撃には非常に強くて、復元性もあるので金属の棒などによる繰り返しの強烈な打撃で一瞬たわんでも攻撃を受け止め、簡単に割れたり大きな変形もしにくく、衝撃を和らげる働きもあり、さらには火炎瓶のような燃えるものに対しても短時間なら熱を伝えにくく、火がついてもポリカーボネート自身の自己消化性が役に立ち、しかも薄くても必要な強度があって、重さも軽めであり、お値段も金属よりお安い。

対人で繰り返し使う場合は利点が多そう。
金属の板は強い力で殴られると変形してボコボコになりがち。

防弾性も関係なし。
ポリカーボネートの盾も基本的に防弾性はほぼなく、あくまでも銃を使わない暴動などの相手に対する防御なのかなと思う。
当方の今回の盾の話でも銃弾への防護は対象にはしていない。
(※一応補足すればポリカーボネートも防弾性が全くないわけではなく、素材の厚みと装弾の種類、射撃する距離によるエネルギーの減少、着弾の角度によっては跳弾などで防げる可能性はあるとは思います。サングラスやゴーグルの規格で良く出てくるANSI Z87.1とかの規格を見ると厚さ3mm程度のポリカボネートで一定距離からの散弾を防げるっぽいので、例えば厚さ10mmとかあるなら少なくとも一定距離からの9号の鉛散弾は防げそう[鉄散弾とかは不明]と推定できます。粒が小さめの散弾は至近距離だと熊さんの頭蓋骨で跳弾することがあるそうなので・・・スラッグは必ず持って行こ・・)

話が脱線したので戻すと、ポリカーボネートの弱点としては、やはり樹脂なので紫外線などでの経年劣化があって、条件により数年程度で劣化したり、割れやすくなったりという特性があるよう。
それでも自動車のカーポートなどに使われているように、たぶん表面に紫外線を防ぐコーティングなりをすれば、結構長持ちする。

耐衝撃性は高いけど、一点に力が集中したりすると意外と簡単に割れたり、ヒビが入ることもある(尖ったもので叩いたり、穴を開けたり、ネジをねじ込んだり等)。

他には、リサイクルなどの再生材料を使ったものだと新品よりも分子量が低くなっていて、より割れやすかったりとかもあるっぽい(ネット知識)。
ただ、劣化については警察など警備用、業務用としてなら、劣化したら更新できるはずなので、あまり問題にはならないと思う。

これはあくまで業務用途で頻繁に使う場合であり、個人の趣味用途で年に何回使うか、10年単位での出番の回数を考えると、数年で劣化するのではちと困る。

そして、当方が相手にすることになるかもしれないのは人間ではなく、ツキノワグマなどの動物。
使う場所も基本的には山の中だし、自然環境や動物に対応する場合に必要な条件を考慮する必要があります。

まず、動物対応に関して必要な条件を考えた場合、冒頭で紹介したツキノワグマ研究家の米田氏の本を参考にしてみました。

この本に出てくるツキノワグマによる事故事例を見てると、ツキノワグマは黒くて自分より大きそうな相手(=強そう)とかを怖がったりする習性がある模様。

さらにスコップを振り回したりして、熊の大きな手に見えるようなものを使った場合も無傷や軽症で助かっていたりと、追い払いの効果を期待できる可能性があるようです。

イノシシでいうと、やはり向こう側を見通せないと突進を嫌がるっぽいので、全般的に動物相手だと透明じゃない方がいい感じ。

イノシシについては、各自治体が市街地に出てきたイノシシを捕獲する際のマニュアルなどを用意していますが、それを読んでみても、やはり透明ではない向こう側が見通せない大きな盾を用意するように書いてあったりする。
(対イノシシの場合は、足元を狙われることが多いので足元を隠せるような大きな盾の方が良さそう)

市街地イノシシ 緊急対応ガイドライン香川県
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kankyo/data/topics/pdf/inoshishi_shigaichi.pdf
※9ページに盾について記載あり。

鳥獣種別の捕獲方法(農水省
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/h21_03/pdf/data3.pdf
※66ページ。エゾシカの捕獲の際の装備として盾の記載あり(主に雄の角への対策と思われる)。

冒頭の米田氏の本でも、過去の事例や自らの経験から(目があまり良くないと言われるツキノワグマからは熊にも見える)黒いもので自分を大きく見せて追い払うのが有効である可能性がある(絶対大丈夫という話ではないので注意、米田氏の本はそういう点で絶対に大丈夫的な無責任な話が書かれていないのは好感が持てる)旨が書かれていたりする。

ちなみにポリカーボネートでも塗装できますし、最初から塗装されて黒いのや緑っぽいのもあります。ポリカーボネート製は大きさの割には軽い感じなので、市街地でのイノシシ対策とか学校などの不審者対策で準備される場合には向いてそう。

ポリカーボネート製で民生用のものを映像などでも見てみましたが、厚さ3mmくらいでも人間が持って防御してる場合は、人力で刃物を突き通して貫通させるのは難しそうに見えました。

次に環境を考えた場合、山は湿気が多いし、枝や石などでっぱりも多い。あと冬は寒い。
ポリカボネートは寒さにも強いので、一定期間ごとに更新する前提ならありと思う。
金属のように冷たくなりすぎることもなさそうだし。
錆びないし。

錆を考慮すると鉄製は選択肢から無くなる。
塗装していてもやはり錆びやすい。

じゃあ、と考えた場合にアルミ合金製かなということになった。
アルミも錆びないわけではなく、むしろ鉄より錆びやすくて表面は酸素と触れると速攻で酸化膜ができるので、そこからは錆が進行しなくなるという仕組み(らしい)。

....と、ここまでの情報を当方の自己都合の妄想を多めにしてミックスしてまとめてみると

・盾はツキノワグマにも有効「かも」(素手で攻撃を受けるより絶対にマシ)。
・たまに使うならポリカーボネート以外の素材がいいかも(主に経年劣化とロマンの関係)。
・色は黒い方がいいかも(熊にとっては熊の頭や手に見える可能性)。
・重さは重すぎると持てないし、疲れるし、そもそも車・・じゃなく家に置いていっちゃうかも。

という四段カモ活用が出来上がりました。

で、そんなこんなで選定したのがアルミ合金製の円形盾。

・縦長の四角いタイプは山で持ち歩くのは邪魔そう(木の間とか狭いし、いろいろ出っ張ってるし)。
・大きな盾は重い。
・円形なら四角よりは木にひっかかりにくそう。
・尖った硬いものに当ててもヒビが入りにくい(凹む)。
・対ツキノワグマ遭遇の事故対策がメインなので、足元はあきらめる。
・円形盾は歴史的に実戦で使用されてきて証明されている使い勝手と実績(当方が使いこなせるとは言ってない)
・商品を検索して探してみたら海外通販でも送料が安めだった。
・アルミ合金だと硬いので動物から見ると「あ、これ、攻撃してもダメかも」と諦めさせる要因になるハズ。
・米田氏の本によれば、黒くて大きいものを熊に出会った時(襲われる前の遭遇時点)に体の上に掲げたら、すごく大きな熊の手や頭等に見えるかもしれないとのこと。本にはエアバッグみたいにガスで膨らます黒い風船とかどうだろう的な話が出てた気がします。購入した盾は直径53cmで熊の頭に見えなくもない。
・押し倒される時に顔を盾で庇えれば、顔や頭は噛まれなくて済むかも。

というわけで、この選択にしてみた。
アルミ合金と言っても何番とかいろいろあるけど、詳細不明。
いろいろ調べてみると、2A12というタイプかも?(どうか信じないように)。
お値段は送料込みで3100円(43.2 AU$)くらい。
Aliexpressよりebayの方が安かった。
タオバオだとたぶん同じものが本体価格100元ちょうど(1600円)くらいの品物。
思ったより硬い。

商品名は
Aluminum Alloy Round Shield
などなど。

以下、他にも調べたことや考えたことをダラダラと書いていくと・・・

余談と言うか最初から余談みたいなネタをずっと書いてますが、歴史的に見ると盾はどんどん小型化してきてる模様。
専門家じゃないので、何適当書いてんだよと思った方はそっ閉じしてください。

形状については、西洋等では盾は、大きな湾曲した板状で矢や投石、槍や剣を防ぐ目的だったのが、だんだんと銃器が登場したりで戦術が変わったり、武器が高性能化するにしたがって、戦争では実用上あまり意味を為さなくなって持たなくなったのと、小型化に関しては大きすぎると自分が攻撃する時に邪魔になる等の理由があるようです。

さらに、日本では盾は使ってなかったのかと調べてみると、鎧の大袖は矢を防ぐための小型の盾だし、鉄砲に対しては竹を束にして盾にしていたり(戦国時代の絵図などから)。

現代でも暴動対応だけでなく、特殊部隊が突入してる時はちゃんと防弾っぽい様々な盾を使っているのが映像や写真でも見れる。

素材については、ポリカーボネートは比較的軽いけども(それでも厚さ3mmx直径55cmくらいの円形盾で1.2kgとか。ナイフを防ぐには十分だけど、比較的柔らなくてペコペコしてる感じ)、前述の通りの理由で除外、鉄製やステンレス製もあったのですが、重さや大きさが条件に合わなかったというのがあります。

やはり鉄製は丈夫ですが、例えば

★鉄製の盾の例。
https://item.taobao.com/item.htm?spm=a1z10.5-c.w4002-7371006973.16.189951395L6GdB&id=44817575384

厚さ2.2mm、直径50cm、重さ3.3kg。
さすがに3.3kgもあると片手で鉄砲を持ってる感じ。

★ステンレス盾の例
https://item.taobao.com/item.htm?spm=a1z2k.11010449.931864.86.72df509dJa7eE1&scm=1007.13982.82927.0&id=534117301991
こちらは厚さ3mm、直径35cm、重さ1.5kg。

どちらも強度は十分で期待できるけど、鉄製はオーバースペック、ステンレスのはちと小さい気がする。

実際に購入したアルミ合金の盾は上にも書いたように直径53cm(端から端、メジャーで直線に計測)で重さは1.7kgくらいだった。
鉄砲とは一緒に持たないので(持てないことはないが、持たないので)、比較的近距離の移動なら、まあ許容範囲かな・・と。

1.7kgとは言え、腕にノートパソコンをつけてるようなものなので、それなりには重さはある。

このお遊び的に楽しみつつ書いている盾の話は、あくまでツキノワグマ対策を考えた場合の話なので、例えば学校などの警備用などで対人を想定した場合はナイフだけでなく、バールなどの打撃も繰り返し受ける可能性を考えた場合は、厚さ5mm以上とかのポリカーボネート製とかがいいんではないでしょうか(さらに、サスマタ担当の人もいる前提で辛子スプレーも持って・・・とか)。

ジュラルミンなどのアルミ合金や金属だと、打撃力がある硬い金属、鈍器で何度も殴られると、普通に凹んで変形してしまうと思いますが、どっちにしても素手で受けるよりは確実に良いけど。

前置きが超長いけど、以下、買った盾の写真。

盾の表面。
どこのご家庭にもあるラウンドシールドです。
表面の小さい丸いのはボルトを隠すためと思われる樹脂の化粧カバー。
すごく大きい中華鍋の蓋的な・・・真ん中に穴を開けて3Dプリンタで
取っ手を付けると鍋の蓋にできそう。
円形に反ってるので鍋の蓋としては使いづらいが。
ここにクマの顔とか描いたら・・・。

持ち手は折り畳みできるが、はめるとしっかり持てる。
本気の打撃に持つのかどうかは不明だが、爪や牙程度ではビクともしない硬さ。
真ん中の持ち手から続く黒い帯は厚さ1.5cmくらいの硬めの発泡ウレタンで100均の
床に敷く組合せ式のウレタンマットの厚い版な感じ。
打撃とかの衝撃があっても痛くないはず。
一番上の帯は腕通し。

梱包はこんな感じで中国の華東地域から届いた。

プチプチで包んであるだけなので、端が多少凹んだりはあるけど、
実用上は問題なし。
ただ、端の部分は丸くなっているとは言え、輸送中の打撃で削れたフチのところで
手を切りそうな感じもあるので、テープ等で保護しようかなと思ったり。

持ちて。折りたたむとコンパクトになる。
アルミなので自分でドリルで穴開けしたりすれば、持ち手の位置を変えたり、
いろいろと改造しやすいのは金属の利点。

腕通し。簡易的だけど十分。


えー、というわけで、ネタ的な道具ですけど、下見の時は状況により持って行こうかなと思います。
あと、最初に書いた熊用スプレーはネタ道具ではないです。

熊用スプレーは下見で山に入る時はもちろん、鉄砲を持ってる時も腰にぶら下げてます。
銃とて弾が入ってなければただの鈍器、しかも銃身は破裂時に割けるように柔らかめの素材、ベネリ・スーパーノバの銃床の樹脂部分も中は空洞であり、硬いものをぶん殴ったらたぶん壊れます。

映画とかで小銃で相手をぶん殴るシーンがありますが、当方の銃は銃床の一番端も衝撃吸収用のエラストマー的な素材であり、殴っても熊への衝撃を吸収してくれます。

脱包して歩いている時に数メートル以内で遭遇しても装填が間に合わなさそうですので。

ベテランのハンターさんから「馬鹿だなぁ・・・弾入れっぱなしにして歩けばいいじゃないか!」って言われたことがあるんですが、不法装填になりますので・・・。