とあるハンターの外部記憶

かりびと見習い。釣り人的な。

狩猟免許(の第一種銃猟免許) ≠ 猟銃所持

猟銃についてネットで調べていると、動物愛護の活動をしている人の文章に、


「狩猟免許取得者が十数万人とかだから、猟銃を持っているのが同じく猟銃を持っている人も十数万人もいて危険だし、銃を持った狩猟者は足りないなんて嘘だ!」


というのがありましたので、せっかくお勉強した知識ですから、その間違いは指摘しておきます。


狩猟免許所持 ≠ 猟銃等所持許可


です。ノットイコールです。


つまり、狩猟免許を持っていても、猟銃の所持許可を持っているわけではないということです。

前述の方々は、すでにここから 間違っています。


狩猟免許には現状、

1.網猟

2.わな猟

3.第一種銃猟(装薬銃、空気銃の両方で可能)

4.第二種銃猟(空気銃のみで可能)


の4区分があり、火薬を使う猟銃を使って狩猟をするには3番の第一種銃猟が必要になります(空気銃も許可を取れれば所持できます)。


そして、3番の 狩猟免許の第一種銃猟はあくまでも「猟銃を使った狩猟をしてもいいよ!だけど・・・・猟銃の所持許可は別だからね?それは警察とかが決めることだから、君が銃を持てるかまではコチラは知らないけどね!」ってことです。


つまり、狩猟免許だけとっても、猟銃を使った狩猟はできませんし、猟銃を所持する許可を得ているかはわかりません。

逆に持たないのに、第1種だけを取ることはできます(ペーパー銃猟者)。


さらに、狩猟免許の第1種を取得すれば、所持許可が下りるわけでもありません。


実際、わな猟も含めて狩猟免許は取得しても、狩猟はしないペーパーハンターが大勢いるとのことす。


資格マニアの人もいますし、とりあえず取ってみたけど使ってない、または、え?銃の所持ってこんなに大変なの?お金もすごくかかるし、賃貸だし難しそうだし無理!!・・・などなど様々な理由で銃の所持許可を取らない人、取れない人たちです。


自分も最初はわな猟だけのつもりでいました。

山に近いところに毎日暮らしてないと、なかなか、わな猟はできません(毎日、見回りできない場合、罠にかかったまま動物を数日以上放置とかになりますから)


ですから、狩猟免許(わな猟)を取った人でもワナ猟はしてない人は普通にいますし、第一種の免許を持っている人も、実際は猟銃を持っていない人が多々いるという仕組みです。


銃の許可を取らないことに関しては、上述以外にもおそらくは、精神鑑定の診断書やら、警察による身辺調査、ご近所や職場への聞き込みだけでなく、実家の家族等に精神病や犯罪歴がある人などがいて許可が下りなかったり、さらには銃や装弾(散弾とか)の購入のお値段や維持コストその他を知って断念する人も多いからかもしれません。



さらに銃の所持許可と言っても、狩猟をしないで空気銃も含めて標的射撃(スポーツ)をするためだけに所持している人もいますから、


これまた、


銃の所持許可数(30数万丁) ≠ 実際の猟銃での狩猟者数


なのです。

さらには、ハンターが引退して余った銃を譲り受けて1人で何丁も所持している人がいるため、


銃の所持許可数 ≠ 実際の銃猟をする人数


でもあります。


射撃場では競技に向いた銃を使った方が使いやすいということで(銃本体が軽い、専用に作られているのがある、火薬量が狩猟用より少なくて反動が軽く狙いやすい他)、競技用と狩猟用を所持している人もいるようです。

 スポーツで練習用と試合用のラケットで分けて複数持ったり、釣り竿を釣る魚の内容に合わせて何本も持ったりに似ています。


ラケットなどとの違いは猟銃の場合、1つ1つ公安委員会で登録されていて、毎年の使用状況や管理状況の点検、および廃棄や譲渡も含めて監視、管理されていることです・・・ですから、家族で1つの銃を持つとかができません。


例えば夫婦で所持したい場合、別々に猟銃を保管するロッカーと鍵を個々人が管理する必要があります。たとえ夫婦でも夫や妻に「鍵の管理よろしく!」などと鍵を渡した瞬間に所持許可を取り消される違法状態です。

夫婦の間でさえ、相手に一瞬でも銃を持たせたりすれば、即、銃刀法違反(不法所持)で逮捕です。


というわけで、狩猟免許取得者の数がそのまま猟銃を持っている人ではないことと、所持するということが如何に厳しいかわかるでしょうか?


ちなみに、自分は管理が煩雑になるのが嫌なので、できるだけ常時一丁だけにしたいです。



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最後に、以下、参考:


★種別狩猟免許所持者数

https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/syubetu.pdf

http://web.archive.org/web/20150608060123/http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/syubetu.pdf


を見ると、

2013年時点で狩猟免許取得者数18万5000人のうち、第1種と第2種合わせて9万8000人です。

前述のとおり、ペーパーハンターもいますから、実際の猟銃の所持許可を得て、さらに狩猟をしている人はここから、さらに少ないということです。


さらに、


★年齢別狩猟免許所持者数

https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/menkyo.pdf

http://web.archive.org/web/20160622093519/http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/menkyo.pdf


を見ると、

狩猟免許(わな、銃猟すべて含む)の所持者の合計が、2013年時点で18万5000人(四捨五入)です。

このうち、


60歳以上が12万3000人、

50歳~59歳が3万1000人、

40~49歳が1万7000人、

30~39歳が1万1000人、

20~29歳が4000人、


です(これまでは20歳以上でないと狩猟免許は取得できなかったため。平成27年(2015年)からはワナは18歳に引き下げられたそうです)。


ここから読み取れるのは、もしも(強調)、現状のままだと各年齢帯で期待できる狩猟免許所持者の数は今後も1万数千人というところであり、60歳以上の12万3000人が10数年後にごっそり抜けた場合、狩猟免許所持者(わな、銃猟すべて含む)が現状の19万人弱から、8万人を切るくらいになる可能性があるということです。


このうち、約半分が第1種、第2種の所持者とした場合、下手したら銃を持たないで猟をする人も全て含めて4万人前後になりそうということです。

そして実際の所持許可を取って狩猟をする人はさらに少なくなるかもしれない(最後だけ強調)わけです。