とあるハンターの外部記憶

かりびと見習い。釣り人的な。

狩猟でスマホやタブレットをGPSナビとして使う場合の注意点(2019年1月上旬現在)

狩猟でスマホタブレットをGPSナビとして使う場合の注意点。

そんなの当たり前だろ、と思っていて周りの人に聞いたらそうでもなかったので、書くことにしました。

結論から書くとスマホをGPSナビとして使う場合に重要なのは、

電池

です。

以下に特に気を付けたいことを列挙します。

1.必ず予備の手段やバックアップを持つ
 (予備電池、予備端末、電源がいらない紙地図、アナログコンパス、暗闇でも見えるようにLEDライト等を検討)。
2.電池の持ち時間をだいたい把握しておく。
3.電池管理をする。
  (事前に充電、予備バッテリーも充電)
4.自分の端末のGPSの機能・性能を知っておく
 (A-GPSのみ対応でないか、対応してるGPSシステム、位置情報取得・復帰までの時間等)。
5.アプリの機能の把握
 (携帯の電波受信が圏外でも機能するかどうか等)

(ICT機器に詳しい方は読むだけ時間の無駄ですので、ここでブラウザのタブを閉じていただければと思います)
これらを把握した上で、山に入るよりしばらく前に自宅や安全な場所などである程度はテストしておく必要があります。

以下、上に列挙した内容について詳細をダラダラ書き。

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1.必ず予備の手段やバックアップを持つ(超重要)。


当たり前ですが、電池がないとスマホGPSGPS機器も動きません。
電池が無いスマホGPS機器はただの重りです、文鎮です。

また、端末にインストールしているアプリの不具合、その他の故障で短時間で電池を使い切ってしまう不具合が起きたり、岩場に落下させたりして破損したり、紛失したり、電源が入らなくなる故障等も想定できます。
非防水なら水没させる危険性もあります。

そうなっても、山の中で電池が無くなっても帰ってこれるように、予備電池や予備の端末などバックアップの手段を持ち、電池が無くても使える地図とコンパスを持ち、使い方も自習しておき、真っ暗になっても予備で持参した紙の地図が見えるようにLEDライトを持つというのは基本かなと思います。

また、家族にも自分がどこの場所にいるかを適宜伝えておくと万一、遭難しても助かる確率が上がるかなと思います。
もちろん遭難しないように、事前に準備して注意するのは言うまでもないです。

当方の場合は、自動車に車両の位置情報を伝える機器を常時積んでおり、車の電源が入ってから切れるまでのn秒ごとの位置情報と時間を自宅に置いてあるサーバに送信しており、これにアクセスすることで車の位置を把握できるようにしています。
(一応、車載端末に挿したSIMの電話番号宛てに直にSMSで命令を送信しても位置情報を返す機能も使えるので、位置情報管理サーバが死んでてもなんとかなるが、SMS自体が1通あたりいくらと料金が発生するのであまり使わない)

家族にも使い方、見方を教えてあるので、最低限、携帯電話の電波が入る場所であれば私の車の最終位置を把握できる仕組みです。
(サーバにはログも保存していくので、後から何年何月何日何時何分何秒に何km、時速何キロでどの経路を走ってた、停車してた、とか軌跡も見れます)

個人でこのシステムを構築、維持管理する人もあまりいないと思いますので、もっとお手軽にGPS BoTなど市販の類似システムを使うという手もあります。
いろいろ商品が出てますので、検索してみてください。

さらに当方の場合は、Androidスマホに標準で搭載されている「ハングアウト」アプリを使って手動で自分の位置情報を家族に送ることもあります。

ハングアウトでの位置情報送信は手動で位置を送る必要がありますが、定期的に家族のアカウント宛てに送信しておけばだいたいの位置情報は送れます。

さらにさらに、Google現在地共有機能も併用しており、これでも家族との位置情報の共有をしています。

ただ、Googleの現在地共有機能は自動だと10分おきくらいでしか位置が更新されないのと、端末によって不具合が出て全然関係ない変な場所を表示していたり等、他の人の端末に表示されているのが本当に現在の位置である保証はないです。
こちらはあくまでもだいたいの目安という感じ、手動で送らなくていいので楽ですが、少し信頼性に欠けます。

また、上に書いたハングアウトおよびグーグルの現在地共有等は携帯電話網を使って位置情報を送信する仕組みのため、携帯電話の電波送受信エリアの圏外だったり、電池を節約するために「機内モード/フライトモード」等にしてる場合は送れませんので、折を見て時々、機内モードを解除したりして位置情報を送るようにする必要があります。
(ついでに、別途、GPSロガーアプリを使って、電波が入るタイミングで定期的に詳細な行動履歴も送って情報共有すれば、遭難時もさらに安心かもしれません)

こんな感じで、(携帯の電波が入る場所では)3重くらいで私の位置情報が家族に伝わるようになっています。

現状はまだ実現させていませんが、アマチュア無線APRS(Automatic Packet Reporting System)を使って、大型電池など電源が載せておきやすい車に中継サーバを載せて、携帯の電波が入りにくい山の中でも自分の位置情報を送るシステムの構築も検討していますが、今のところは獲物の引き出しを考えたり自分の登山経験も考えると、それほど奥地には入らないので・・・まあこれはそのうち気が向いたらという感じ。
(さらに本気モードだと衛星携帯電話という選択肢も。最近ちょっと興味があるのはガーミン inReach Miniで・・・以下略)

先にも書いた通り、これに加えて紙の地図とコンパスも持っていっています。
でも、事前にちゃんと紙ベースの地図やアナログコンパスの方も使い方を把握しておかないと「持ってるだけ」になってしまい意味がないため、使い方を練習しておかないとダメですが。

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2.電池の持ち、能力を把握しておく(だいたい)

1に書いたことと一部似てますが、
自分のスマホの電池のもちは、「電波が受信できる状態」ではどのくらいなのか、「圏外の状態」でどのくらい持つのかを事前にある程度把握しておくと、想定外の電池切れを防げます。

これは何分何秒というタイトな情報ではなく、推定何時間なら電池が持つというのを自分で把握しておくということです。

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3.電池管理(これもだいたい)

もう1~3がほとんど同じ話ですが、電池がどのくらい残っているかや充電されているかなどの電池管理も重要です。

山に入った時点で電池残量が50%を切ってるとかでは意味がないので、山に入る時点で電池が満充電に近いかどうかなどを把握しておく必要があります。

最近の携帯電話は待ち受けでは電池をあまり食わないようになっていますが、やはりアプリを使ったりで通話、通信をすると電池を消耗するスピードが急速に上がるので、電池残量や充電の管理は重要です。

実際の使用を想定して、街中のなど安全な場所である程度は把握しておくべきかと思います。
アプリによっては電池をわざと消耗させてどのくらい電池が持つか調べるアプリもありますので、そういうアプリの使用も検討していいと思います。

またスマホ本体の電池だけでなく、予備のモバイルバッテリーなどの充電が空になっていないか?なども重要です。
いざって時にバックアップの電池も空っぽだと悲しいですしね。
ずっと「重り」を持って歩いてたのかということになります。

電池の保温管理も大事です。
現状、スマホで一般的に使われているリチウムイオン充電池は、低温の環境では電池の使用可能時間が大幅に下がります。
具体的には零下の気温にさらしておくと通常の半分未満しか電池が持たないなどの状況がでてきます。

気温低下による使用時間の大幅な減少を避けるため、できるだけ端末と内蔵電池を低温の外気にむき出しにせずに、体に近い服のポケットや懐炉などである程度は保温できる場所に入れ、端末に搭載されている電池の保温します。
ただし、非防水の端末の場合、汗など水分でショートや浸水しないように管理は必要です。猟装の内側ポケットにいれた時は、汗で画面に水滴がびっしりみたいな感じになったこともあります(防水端末でも長時間の汗に晒すのは不味いのですが、一応不具合は出ませんでした。防水と言っても通常は真水を想定した機能ですから注意がいります)。
これはスマホに限らず電池を使うデジカメその他でも同じです。

以上、似たような話を3回書くくらい電池電源関連は大事ってことです。

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4.端末のGPS機能の性能や仕組みを知っておく(だいたい)

GPSの仕組みそのものに関しては、グーグル先生に聞いてもらうとして、
狩猟でスマホタブレットをGPSナビとして使う場合は、その端末の性能をある程度は自分で理解しておいた方がいいかなと思います。

特に注意が必要なのは「A-GPS」かなと思います。
GPSに「A」がついてるだけなのに違いは大きいです。

A-GPS(Assisted GPS)はGPS衛星の電波そのものではなく、携帯電話の基地局からの電波を使って測位を補助するシステムです。
これは、もしも使用している端末がA-GPSのみに対応していて、衛星からのGPS電波の受信には対応していない場合、携帯電話の電波が圏外だと位置情報が確認できないということを意味します。

A-GPSのみに対応している端末でも携帯電話の電波が入る街中での測位では問題になりませんが、携帯電話の電波が入らない山の中に入った時には位置情報が更新されず使えないということになるので注意が必要です。
(実は1でチラっと書いている車載測位システムもA-GPS依存。単体でも衛星のGPS電波を受信できるチップとアンテナは載っているのだが、機器全体としてはSIMカードを挿してA-GPSの情報も使えないとうまく動かない仕様。ただ、これに関しては秒単位のリアルタイムの位置情報を携帯電話網で送る仕組みなので実用にはほぼ影響ない・・・)

最近のほとんど全てのスマートフォンは衛星からのGPS電波も受信できると思いますが、少し前に発売された非常に安価なタブレット端末の中にはGPSの電波を受信できるチップを搭載してなかったり、「A-GPS」のみ使える機種というのも存在しますので、購入したお店やメーカなどに事前に確認しておくか、機内モードなどを使って携帯電話の電波の受信圏外の状態を意図的に作って位置情報が更新されるかどうかを実際に実験してみる必要があります。
山で紛失しても良いように・・・と古い端末、安価な端末を使う人もいると思うので念のため注意が必要です。

あとは所謂、格安SIMのデータ通信専用プラン(SMS送受信と音声なしのデータ通信プラン)で運用してる場合もA-GPSが受信できないことがあるので、これまた注意が必要です。A-GPSでしか位置情報を運用できない端末をA-GPSが受信できないデータ通信プランのSIMで運用していて山に持って行った場合、全く位置情報は取得できませんので・・・(※上に書いた当方が自前で導入および環境構築、運用をしている車載測位送信システムでも、MVNO....所謂、格安SIMデータ通信専用プランのSIMを使っているのですが、 たまたま導入した機器はSMS送受信機能を付けないとA-GPSが受信できない仕様のようで、SMS付きデータ通信プランを契約して使っています・・・内輪な話ですが、当初うまく動かなくてシリアル通信でログを取得して読んでいて判明・・・ちなみにちゃんと技適ありのやつです。一度、ネットワークに接続して認証してA-GPSや携帯の電波をつかめてしまえば、端末本体のGPS...GNSSの電波を受信できるチップも載ってるのでそっちの受信情報も送信してA-GPSGNSSの補完があるので精度が上がるんですが、最初のネットワークに接続するまでがうんぬんかんぬん・・・・さらに上位のカテゴリまで使えるフルなLTEは別として、LTE Cat.M1だけ使おうとするとキャリアやサービスによりA-GPSが取れないとかもあったり、その場合も設定が可能な機器については代替方法もなくはないけど、ここでちょこちょこと書ける分量ではないのでうんぬんかんぬん・・・以下略


また、ちゃんと衛星のGPS電波を受信して処理できるSoCやGPS関連用のチップを搭載している場合も、使用しているチップ等の性能により、端末の電源を切った状態(コールドスタート)からGPSの電波をとらえて位置情報を把握するまで数分以上の時間がかかる機種もあるようです。

電源が入っている状態でも一度、山の影などで衛星からの電波を受信できなくなると、同様に位置情報の復帰に数分単位の時間がかかる機種も存在するようですので、やはり自分の端末のGPS機能について動作の癖を把握しておくというのは必要です。

衛星の位置をもとに測位する復帰に時間がかかると何が問題なのかというと、GPS機能がある機器の電源を入れて起動してから測位の復帰に数分かかるということは、例えばスマホの電源を切って電池を節約するような運用をした場合、場合によっては電源を入れて起動するのに1-3分、位置情報を把握できるようになるまでさらに数分ということになり、非常に時間ロスが大きくなります。

測位の復帰が遅い機種でも街の中で使っている場合は、機器の使用者が意識しなくてもA-GPSや周辺の無線LANの電波などを使って素早く位置情報の修正をしてくれて不便を感じないこともあるかと思いますが、山の中だと街中のようにはWifiもなく、携帯電話の電波が思うようには受信できないこともでてくると思います。
場合によっては山での時間ロスは、日没になってしまう等の大幅なマイナス要因になることもあるので、事前に機器のテストして把握した方がいいかと思います。

他に知っておいていいこととしては、使用しているスマホ等が受信できるGPS電波の種類の(だいたいの)把握です。

昔はGPS=イコールでアメリカのシステムのみでしたが、今は米国が運用するGPSの他に、ロシアのGLONASS、中国のBEIDOU(北斗)、欧州のガリレオ、日本のQZSS(みちびき)などかなり種類が増えています。
インドなども同様のシステムの構築を目指しているようです。

これらの測位システムを総称してGNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)と呼んでいるようです。
当方も別に専門家ではありませんが、山で苦しい思いはしたくないので調べました。

上記の測位システムの中で対応している種類が多いと、山の影などでも電波が受信できるGPS衛星が増えて、より悪条件でも高精度な測位ができる可能性がありますので、これまた知っておくといいかなと思います。
最近のミドルレンジ以上のスマホとかですと、GPSGLONASSGALILEO、BEIDOU、QZSSあたりは対応してる感じです。

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5.アプリの機能の把握。

過去のメモで狩猟の時にはスマホジオグラフィカというアプリを入れて使っていて、携帯電話の電波が入らないときはスマホを「機内モード」にして使用していると書きましたが、アプリによっては機内モードにしていると使えないものも存在しますので、事前に自分が使用するスマホアプリの機能の把握も必要です。

さらに、地図などは機内モードにしていたり、携帯電話の電波受信の圏外だと地図のダウンロードができませんし、地図はデータ量が多いので、WiFiなどを使える環境で山に入る前に必要な地図は自分のスマホにダウンロードやキャッシュしておく必要があります。

例えば、当方が使っているジオグラフィカも圏外や機内モードの状態で地図を見るには、あらかじめスマホに見たい場所の地図を内部の記憶装置にキャッシュ(一時保存)しておく必要があります。

きちんと地図等がダウンロードできて、さらに携帯電話の受信圏外でも使える状態かどうかは、スマホ機内モードに切り替えてから何百メートルか移動してみて自分の位置情報が更新されるか地図が表示されるかで確認できるかなと思います。

かなり長文でしたが、今思いつく限りのことは書いてみました。
以上、ダラダラと書きましたが、おわります。